旧コラムアーカイブ
民泊ガイド民泊

近隣住民の理解は前提条件だが……

**第2章 さあ、京都で始めよう**

民泊の許可手続きの仕事をさせていただいていると、ときに京都市の条例の解釈で役所と果てしない議論になっていくことがあります。そのやりとりの実際例は第5章で詳しく述べますが、市はグレーの部分について「まあ、そういう解釈でいいでしょう」という柔軟な姿勢で許可を出していく方向ではなく、理屈をつけては「だから許可できません」と、かたくなに言い張るのです。

決められた基準にしたがって「許可できません」と言うのならわかりますが、「これではダメだから」と窓口で申請書類を受け取りません。その理由は、じつは根拠がないことも多いのです。

京都市には、あまり急激には民泊施設を増やしたくないという思惑が見え隠れしています。それは、京都で昔から営業しているホテルや旅館に配慮している面もあるのでしょう。「民泊110番」などで明らかになっている住民の苦情は、その「民泊を増やしたくない理由」として大義名分となるわけです。

許可申請の手続きにおいても、近隣の学校などの施設や住民の意見を聞くプロセスが求められています。近隣施設の同意がなければ許可されないということではありませんが、このプロセス自体は許可要件に含まれています。

ところが最近になって、京都市は新しく許可を申請する民泊施設について、周辺住民との関係性を考えた指導要綱を明らかにしました(2016年12月よりスタート)。

そこには民泊事業者に対して、近隣に配慮するためのさまざまな具体的な要求が挙げられていて、さらに住民との説明会の報告書など、許可申請書とともに提出すべき書類もいくつかあります。

これはあくまでも京都市役所の行政上の指導要項ですから、旅館業法などが定める民泊の営業許可の要件にはないことです。たとえ(万が一)無視したとしても、それが原因で法的に営業が不許可になることはありません。

しかし公表された指導要項を読むと、どうもそのようには見えないのです。つまり一般市民が見れば、「これを守らないと京都市は民泊の営業を認めない」と言っているように見えるのです。事業者も近隣住民もそのように誤解してしまう可能性がきわめて高く、それが京都での民泊ビジネスへの参入にさらに大きな障害となっていくことが懸念されるのです。

近隣住民や自治会などと上手にやっていくことは、民泊事業者として当然考えなければいけない問題です。うまく許可が通って晴れて開業となったとしても、近隣からいつも苦情が来るような状態では、ビジネスはうまくいかないからです。営業が始まる前から、町内会などの集まりで計画を説明し、お互いにコミュニケーションをとっておくことは大切なことです。

しかし、それは民泊事業の許可要件とは関係のない話です。そこを混同させるような京都市のやり方には大きな問題があります。

これは、京都における民泊事業への参画に少なからぬ影響を与える問題なので、あとの許可手続きの部分でもう一度詳しく考えてみたいと思います(第4章■ページ以下を参照)。

【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。