**第4章 許可が下りなくても、あきらめないで!**
これからの日本で民泊ビジネスが隆盛していくことは、海外からやって来る旅行者にとって(もちろん国内観光客にとっても)便利になることですし、その地域の経済振興、あるいは日本全体の経済発展を考えても、非常に大きなポテンシャルを持っていると考えられます。地方行政が、これを正しく推進すべきであることは間違いありません。
しかし現在、私が関わった地方自治体はどこも、なぜか民泊の許可に対して必ずしも積極的ではないように見えるところが少なくありません。京都市も、じつはその一つです。
たとえば、京都で民泊ビジネスを始めようと考えている事業者にとって、まずいちばんの障壁となっているのが「帳場」の問題です。
国の法律では、100平米以内の簡易宿所であれば帳場は必要ないとしていますが、京都市ではこれを「必須のもの」として、原則すべての民泊に帳場を求めています。とても小さな、1組しか泊まれないような民泊でさえも「帳場がないと許可できない」という立場を堅持しています。
ただし特例があって、「京都古来の町家であれば、帳場がなくても民泊として営業していいだろう」という条例になっているのです。それは、民泊の許可には厳しくあたりたいが、一方で京都の古い財産である町家とその周辺文化を守りたい、できるだけ町家を再生して再利用してほしいという思惑も、役所内の観光業とはほかの部署にあるからです。
そもそも役所内に、町家を守ろうという空気に温度差があるのです。そのために、民泊ビジネスに参入しようとして許可を申請する人は振り回されることになります。
というのは、いろいろな物件に対して「町家かどうか」という判断を一律に下していくことは非常に難しいわけです。京都市は「町家とは何か」というメルクマールはつくっていますが、最終的な解釈となるとグレーゾーンになってしまう(つまり人の見方や考え方によって変わる)ことがたくさんあるからです。
細かい内容については第5章に譲りますが、結果として町家を購入しても簡単には町家と認めてもらえず、そのために膨大なリフォーム費用がかかったり、狭い民泊に不自然な帳場がしつらえられることになったり、あるいはオーナーはその物件で許可を取ることをあきらめてしまったり、ということが起こってくるのです。
【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。