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帳場なんか、いらないのに……

**第5章 京都市での「民泊」許可申請手続き、その現実**

では、以下に京都での民泊の許可の問題点を、京都市が求める要件ごとに、実際の事例をもとに考えていきたいと思います。

まずは、本書でくり返し登場している「帳場」の問題です。これは京都市で民泊を始めようと思ったときに最大の「障壁」となるポイントですし、京都市の対応も現状でははっきりしていない部分も多いので、もう一度全体を整理して詳述します。

帳場というのは、ホテルや旅館で言えば「フロント」です。宿泊客が到着したときに最初に訪れ、宿泊できるかどうかの問い合わせをしたり、予約した部屋のチェックイン、帰るときのチェックアウトなどの手続きを行うところです。いわば、その施設の「顔」のような存在です。

これは旅館業法で「必ず設置しなければならないもの」として、営業許可を下すときの重要な要件とされています。

ところが、小規模の民泊施設では、そのようなところは営業上、必ずしも必要ない場合が少なくありません。とくに部屋が一つしかない、全棟貸し、一棟貸しといった状況では、たとえば暗証番号のある鍵を設置する、ダイヤル式のキーボックスを設置して部屋の鍵をそこに入れておくなどの工夫をすれば、対面によるチェックイン・チェックアウトの必要はなくなります。予約完了後に、当日部屋に入れる番号を教えるだけで済むからです。

Airbnbなどのインターネット上の予約は、クレジットカード決済とともに予約が完了していますから、現金のやりとりも必要ありません。帳場もフロントマン(管理人)も「コストの無駄」になるわけです。

そういうことを考えて国の法律(旅館業法)では、「100平米以下の簡易宿所に関しては帳場はなくてもよい」という特例を2016年の春から付け加えました。民泊ビジネスを後押しすることで宿泊施設の不足を補いたい、外国人観光客による経済効果を妨げないようにしたい、という国の思惑があることは言うまでもありません。

ところが京都市では、民泊施設であっても宿泊した客の身分を確認できるような自筆の宿泊名簿が必要である、そうした事務的な書類を保管する場所も必要だろう、という見解から、たとえ簡易宿泊所に含まれるものであっても帳簿は営業許可の必須要件としているのです。

しかもその帳場は、許可を取るための形式的なものでは認められません。広さは2平米以上、固定式のカウンターがあって、カウンターの上は床から天井までの高さの2分の1以上空いていなければならない、などの細かい規定があります。

あるいは、帳場が少し奥まったところに造られていて、宿泊客が施設の玄関を入ったときに帳場よりも先に宿泊室に入れるような動線になっていると、これも許可が下りません。きちんと日常的に帳場を使っていなければダメ、という前提なのです。

【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。