**第5章 京都市での「民泊」許可申請手続き、その現実**
京都市が事実上必要ない民泊の帳場について「なければ許可できない」とするのは、おそらく民泊が際限なく増え続けることに歯止めをかけたいからなのでしょう。
また古くから京都で営業していて、たくさんの税金をずっと払ってきている高級旅館や大きなホテルに対しても、「規模が小さければ優遇されるのか」などの反発が来ないように配慮している、ということも考えられます。
考えてみれば、国の法律にすべて準拠して「帳場がなくてもトイレは一つでも、用途地域さえ守ってくれれば民泊は簡単にできますよ」という状況では、旅館等を一定の数に保つことは難しくなります。それはいろいろな難しい問題につながっていくという判断から、京都市は「帳場の設置」を許可の条件とすることで民泊への参入障壁とし、京都における民泊ビジネスへの安易な参入を制限しているのでしょう。
しかし一方で、景気を盛り上げていくことを仕事としている京都市役所内の経済産業関連の部署では、民泊許可の問題とはまったく別のところで「京都市に古くからある町家の町並みを今後も保存していきたい」という考えがあります。
「民泊参入によって古く使われていなかった町家がきれいに再生され、観光客の宿泊所になっている現状は、京町家の保存に一役買っている。京町家の民泊利用の許可申請については、帳場の設置を義務づけなくてもよいという特例を設けるべきだ」というわけです。
こうして「常時一組しか宿泊しない全棟貸しの小さな民泊施設で、それが町家の要件を満たしているのであれば、特別に帳場を設けなくても許可することにしよう、ただし、帳場を設けない代わりに必要なときには20分以内に管理人さんが駆けつけることができる態勢にしておくこと」となったのです。
これがあとで述べる、京都市における民泊許可要件の「町家問題」につながっていくことになるわけですが、そのややこしさの根っこのところには、このような京都市役所内の二つの部署の思惑もあるということです。
【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。