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2階を建て増したら町家ではなくなるのか

**第5章 京都市での「民泊」許可申請手続き、その現実**

いま進行している事例で、もともと町家の建物だった平屋建てに、いつの時代か2階を建て増ししたと思われる物件があります。

登記をたどっていくと、戦前から建っているものであることは間違いありません。しかし最初は平屋だったようなので、建て増ししたことも明らかです。京町家では、このようなケースは少なくありません。

建て増しした部分は、町家の要件である伝統的な工法で造られていません。しかし建て増しの時期は、はっきりとはわかりません。

オーナーはその2階建ての「町家」を民泊事業に使いたいわけですが、はたしてこれは帳場を設けなくてもよいという特例が認められる町家と言えるのかどうか。いま現在進行中なのですが、京都市役所の最初の判断は「町家ではない」でした。だから、帳場なしでは認可できない、というわけです。

しかし、明らかに町家である建物に2階を増築したら、そのとたん町家ではなくなってしまうのか、という疑問が残ります。そのような基準がどこかに書いてあるのか、どこにも明文化されていないわけです。

2階部分は町家を示す伝統的な軸組工法の様式ではないという、一つの見方は当然あるでしょう。しかし、現在ある建築基準法にのっとって木造の建物を造ろうとすると、釘などの金物を使わないわけにはいきません。基準法が求める強度が得られないからです。

ということは、現行の建築基準法に沿って2階を増築した町家はすべて、手を着けてない1階部分も含めて町家ではなくなってしまうのでしょうか。それは、どこにも書いてないわけです。市役所職員の感覚で判断しているだけではないか、ということになります。

その物件は少なくとも1階については、木格子、屋根、土壁などの外観が、誰が見ても町家そのものです。京都市が求める要件も備えています。しかも、2階の増築がいつ行われたのかは不明です。戦後である可能性は高いが、証明はできません。

したがって、申請の段階でこれを拒否される筋合いはない、と考えられます。そういうわけで、私は書類をそろえて申請書を提出しました。提出された申請は受理して検討するのが役所の仕事ですから、そのうえで調査が行われて「町家ではない」と判断するなら、その旨を立証してもらえばいいわけです。

その物件もほかの町家同様、間口が狭く、帳場をつけるなら客室の奥になってしまいます。申請前のやりとりで「それでもよい」という話にはなったのですが、町家であれば帳場は必要ないわけですから、やはりそこは譲れないところでした。この件の結論はまだ出ていません。

【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。