旧コラムアーカイブ
行政サービス徹底活用術行政活用

返還手続きは「支払督促」を使う

**第2章**

債務者と債権者に分類するなら、賃借人、つまり家賃を払って家を借りている人は債務者です。ところが敷金返却を求めるときには、同じ賃借人の立場が180度変わり債権者となるのです。普通に社会生活を営んでいるだけでも、誰もが債権者となる可能性があることは、ぜひ頭の隅に置いておくとよいでしょう。

では、債権者として債権回収するには、つまり債務者からお金を支払ってもらうには、どのような手続きを取ればよいのでしょうか。相手は、敷金を返す必要などないと言っています。だからといって、いきなり実力行使をして取り立てや差し押さえをする人は、まずいないでしょう。もちろん、日本は法治国家なのでそんな行為は許されません。

手続きは次の二段階で進めます。

1.相手に支払い義務があることを確定させる手続き

2.強制的にお金を取り上げる手続き

最初にやるべきは、自分にはお金を支払ってもらう権利があることと、相手にはお金が払う義務があることを確定させることです。これは原則的には訴訟で確定させます。誰々に対していくら払う義務があると裁判所が確定し、それでも支払わない場合は、強制的に差し押さえする手続きに入るのです。

ただし、いちいち裁判を起こしていたのでは、費用も時間もかかり面倒なので、通常はより簡易な「支払督促」と呼ばれる手続きを取ります。これは債権者の申立てに基づき、債務者に金銭の支払をするよう督促する裁判所書記官による処分のことです。裁判所から督促状を出してもらい、2週間以内に債務者から異議申立てがなければ、裁判で確定したのと同じ効力を持ちます。

また敷金を返却する際には、細かいことですが、誰が振込手数料を負担するのかも注意しておきたいところです。普段、家賃を払っている時には、賃借人、つまり家賃を払う人が振込手数料を負担しているはずです。債務を支払う場合の手数料は、原則として債務者が負担することになっているからです。

ということは、債務者と債権者の立場が逆転する、敷金返却の場合は、どうなるでしょうか。敷金を返却する側、つまり債務者である大家が振込手数料も負担することになります。たとえ額がわずかだとしても、原則は債務者負担です。敷金返却を求める場合には、振込手数料にまで注意を払っておきましょう。

【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。