**第2章**
高齢化社会の問題として注目を集めているのが「認知症」です。厚生労働省の発表によると、65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計で15%となっており、2012年時点で約460万人の患者がいるとされています。さらに前段階である経度認知障害の高齢者も400万人ほどいるとされ、65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍であるということになります。
認知症を患うと判断能が不十分となるため、財産管理や契約締結といった行為に支障を来たす場合があります。悪徳商法などの詐欺被害や訪問販売やテレビショッピング等での不要品の購入、財産の浪費といった金銭トラブルに加え、介護や医療サービスの申請ができないなど、日常生活に必要な手続きができなくなる可能性もあります。今のところ認知症に対する有効な治療法は見つかっていませんので、一度発症してしまった場合、進行を止めることはできません。
では、そのような状態に陥ってしまった場合、自らの権利や財産を守るにはどのような方法があるのでしょう。
まず、必要とされるのが「成年後見制度」です。成年後見制度とは、判断能力が不十分な状態となった人(以下、本人)が特定の人を後見人として選任し、依頼者である本人の権利や財産を守り、生活を支援するという制度です。この制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類があり、次のような違いがあります。
・法定後見
本人の判断能力が不十分な状態となった後に、家庭裁判所に後見人の選任の申し立てをして家庭裁判所に後見人を選任してもらい、後見人の権限を決めてもらうこと
・任意後見
本人がまだ判断能力が十分ある段階、もしくは判断能力が低下していても軽度な段階において、本人の意志で誰を後見人とし、後見人の権限の範囲をどうするかを決めて、公証人の作成する公正証書で直接任意後見を依頼する相手と契約を結んでおくこと
すでに本人の判断能力が不十分になっていないのであれば、ある程度の年齢になった時点で任意後見契約を結ぶことをおすすめします。早めに契約を結ぶことで、本人の希望に沿った支援が受けられるためです。
【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。