**第2章**
遺産相続について無料相談を活用する場合には、事前にある程度の調査をしてから相談することをお勧めします。いきなり「遺産相続の方法が分からない」と言われても、相談を受ける側としては、何に悩んでいるのかが分からないからです。限られた時間を有効に使うためには、ある程度の資料を作成してから相談に行きましょう。
「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。(民法906条)」
これは遺産相続の大原則となっている法律の一文です。遺言がある場合は、それに従って遺産を承継しますが、遺言がない場合、遺産は相続人全員で共有することになります。
遺産相続といえば、まず配偶者で、子どもや兄弟が何分の一という話になりがちですが、これは大きな誤解であり、大原則となるのが上記の906条です。仮に故人が生前、要介護状態でお世話になっていた人がいた場合は、その人も相続人となり得ますし、あるいは故人から密かにお金をもらって生計を立てていた人がいるなら、その人も相続人となる可能性があるのです。
従って、遺産相続にあたっては、まず相続人を特定することから始まるのです。ところが、これが実は簡単な作業ではありません。前述のように、意外な相続人がいるケースがありますし、故人に子どもがいない場合は故人の兄弟に、その兄弟も亡くなっている場合は、その子どもに相続権が移ります。また、相続権を持つ人が音信不通の場合もあるかもしれません。そんな場合は、相続権のある人は探しだしてでも連絡をつけて、協議する必要があるのです。
なぜなら、故人が亡くなった瞬間から、遺産は相続人全員で共有している状態となるため、相続人全員の合意が必要となるからです。仮に、相続人の誰かが抜けた状態で合意されたとしても、その人が後に異議を唱えた場合、合意は成立しなくなります。ですから、遺産分配の手続きは、何よりもまず相続人全員を特定することから始めなければなりません。
相続人を特定した次は遺産の確定ですが、こちらも一筋縄ではいきません。「遺産=財産」と簡単に考えがちですが、事業をされていた場合は、多額の借金を抱えている場合や誰かの保証人を引き受けている可能性などがあります。この負債なども遺産として受け継がれるのです。
財産についても、株式などの投資がある場合や家族が知らない口座を開設されている場合もあるので、それらの有無や価値についての調査も行わなければなりません。時価や市場相場はどうなっているのかなど、きめ細かく調べあげる必要があるのです。
会社経営者の場合、話はさらにややこしくなります。前述のとおり、会社が持っている財産も遺産に含まれますし、会社が負債を抱えている場合も同様です。現金に限らず建物や機械など、会社に何らかの貸付をしている場合は、それも遺産に含まれます。これらすべてを可能な限り拾い上げた上で、遺産分割協議を行わなければならないのです。
これらのことを踏まえ、相続対象者となり得る親族関係者や資産については、ある程度把握したうえで相談に行くと、より具体的な回答を得ることができるので参考にしてください。
【注記】この記事は開発者Tが以前に執筆したコラム・出版準備した書籍原稿からのものです。内容は当時の法令・制度等に基づくものであり、現時点での正確性を保証するものではありません。最新の情報は本AI行政コンパスのチャット画面等でご確認ください。